2013年6月20日木曜日

オリエント急行とズッキーニの花

















昔、母のオリエント急行での取材に同行したことがあります。
大学の卒業祝いを兼ねての旅行でした。
ロンドンからベネチアまで一泊二日の列車での優雅な旅。
一生忘れない貴重な体験になりました。
そして、母との最後の二人だけの旅でもあったため、
大切な思い出の旅でもあります。

正直、今思うとあの旅は少なくても20年は早かったような気がします。
20代前半の大学で縦の世間知らずな私にはまだもったいないような。
母もきっと当時、今の私と同じように思っていたことでしょう。
「私の横にいるのは娘ではなく、素敵な男性だったらもっと良かったのに」と。
その「素敵な男性」とは父のことだと娘としては思いたいです。

確かに、大人になってから、もう一度体験してみたい旅です。
いつかまたやりたいことの一つです。
きっと昔とは全く違った体験になることに違いありません。
















当時の母の年齢とは、今の私とほぼ一緒だと気付いて驚き。
写真は途中駅でちょっとだけ下車した私に、窓から手を振る母。
とてもいい笑顔で楽しそう。

列車内はまるでアガサ・クリスティーの小説の世界。
そして今まで経験したことのなかったようなサービス。
これだったら一生列車の中で暮らしてもいいと
母と二人で冗談を言ったりもしました。

そして美味しい食事。
その中で一生忘れないのがズッキーニの花を使った一品。
















ズッキーニの花は初めて。
当時はズッキーニにお花があるとも知らないぐらいでした。
牛の骨髄をズッキーニの花に詰めたお料理の美味しさと
その時の感激は今でもはっきりと覚えています。

ズッキーニの花の料理はあの日以来食でした。
よく思い出し、食べたいと思っても、季節の問題などで
なかなかタイミングが合わなかったのかもしれません。

そして先日、いつも行く野菜市でついに発見。
迷わず手に取り、すぐレジへ。
















さあ、何を作ろう。
オリエント急行のシェフを真似しようとは、とんでもない。
自分の出来る範囲のものを、と思って豚の挽肉とハーブとお米を
お花に詰めてオーブンで焼いてみました。
















簡単に言えば、ピーマンの肉詰めのズッキーニのお花ヴァージョンでしょうか。
とても美味しかったです。

もちろんオリエント急行の料理とは比べられませんが、
「ズッキーニのお花」を目の前に、あの時を思い出し、
久しぶりに写真や記念品としてとってあったメニューや
車内の個室にあった案内やレターセットなどを手に取って
あの時を振り返る良いきっかけに。