2012年10月17日水曜日

My Little Hero


先日の夜、愛犬ベイリーの様子が変であるのに気がつきました。
1階の部屋でパソコンを見ていた時に
玄関から「うー、うー」と低い声が。
見に行くとベイリーが辛そうに横たわっていたのです。
肝臓の病気を持っているため、以前にも何回も
貧血を繰り返していたものの、この10ヶ月間は
何も無かったので安心はしていました。
とうとうまた来たか、と恐る恐る歯茎や下瞼の内側の色をチェック。
やっぱり白い。体温もいつもよりかなり低そう。

夜間救急の動物病院へ駆けつけたところ、やっぱり貧血でした。
しかもかなり数値が悪く、この状態では輸血が必用と言われ
あまりのショックに私までもが貧血になりそうな気分に。
でもベイリーのためにしっかりしなければいけない。
冷静を取り戻して早速入院の手続きを。

犬の輸血とは以前にも何となく話しは聞いたことはありますが
実際に自分が関わることだとは思ったことはありませんでした。
輸血犬として登録されているワンちゃんもいるのです。

しかし我が家の場合、同じ犬種でほぼ同じ大きさ、
しかも遠い親戚でながらも一応血がつながっている
ボニーがいるではありませんか。





















やんちゃでおっちょこちょいであっても
健康と体力に関しては完璧なボニー。
若くて健康、同居犬であり、同じ犬種、遠い親戚でもあるボニーちゃん
はベイリーにとっては最適な輸血犬。
もちろん血液検査はありますが、ほぼ確実だと言われました。


辛い思いをしているベイリーを病院に残して帰るのは
胸が痛みましたが信頼できる先生やスタッフの方々
と一緒ということで何となく安心もできました。

家に帰るとボニーがいつもとは違ってちょっと寂しげな様子。
もともと可愛くてたまらないボニー。
その日は通常の何千倍も可愛いような...

「あなたは明日、一生の間での一番大きなお仕事をするのよ」
と抱きしめながら説明。 
本人はもちろん何を言っているのか、なぜいつも以上に可愛い可愛いと
言ってくれているのかさっぱり分からないにきまっていても、
何となく何か感じていたようで、ぎゅーっと苦しいぐらいに抱きしめても
全く抵抗しません。

まるで「大丈夫よ、任せてちょうだい」と伝えてくれているよう。
飼い主の勝手な、都合の良い思い込みかもしれませんが...

 翌日の朝早くにボニーを連れて病院へ。

まず血液検査などがあり、血液型など全て適合していることを確認。
それからボニーからゆっくり血を抜く作業。
そしてそれからベイリーへの輸血。これは数時間かけて入れるそう。
その後、反応を見てからやっと退院ができる、と一日がかり大仕事です。

























長い一日でした。
何かあればお電話しますとのことでしたので
とにかく電話が鳴らないようにと一日中心臓はドキドキ。
No news is good news. 

犬が家に一匹もいないのは静かすぎてとても寂しい。
でもくよくよしていないで、どうせならいないことをチャンスだと思って
ワンちゃん達がいる時に出来ないことをやろう、と思ったのですが
それが一体何なのかさっぱり分かりませんでした。

やっと思いついたのが一階の空気の入れ替え。
お天気もよかったので窓を全部開け、
玄関のドアを思いっきり開けたまんまにして
久しぶりに玄関や廊下の空気を完全にリフレッシュ。
動物を飼っているとなかなか出来ないことなのでドアを開けっ放しに
する開放感と気持ちの良さをすっかり忘れていました。
おかげさまで家の中だけではなく、
落ち込んでいた私も少し気持ちのリフレッシュができました。

そして夕方になって再び病院へ。
2階から1階の待合室にまず降りて来のがボニー。
尻尾を大きく降りながら、私たちを見て嬉しそうに飛びついて来ました。
嬉しかったのはもちろん、まるで自慢しているよう。
夫も私も褒め言葉が止まりません。
「ボニーすごい!」
「ボニー、偉い!」
「なんてお利口さんなんでしょう!」
「よくがんばってくれたね」 などなど。

そして先生が降りて来てお話を。
「ボニーは本当にお利口さんでした」と。
長時間我慢しなければいけないので暴れ出したり
嫌がったりする子が多いようですが、
全くそれがなくてずっと我慢していたそう。

え?うちのボニーが? ちょっと信じがたかいお話。
















でも(たびたびの親ばか話を許してください)ボニーは賢いし、
ベイリーの状態を見ているからもしかしたら分かっていたのかも...

以前にベイリーの様子が変だと夜中にボニーが
私たち起こして知らせてくれたことがあります。
それですぐに病院へ行けてベイリーは助かりました。

まあ、どうあれボニーは良くがんばってくれました。
大量の血液を抜いたと思えないぐらいの元気さでとりあえず一安心。

そしてしばらくするとベイリー登場。
顔を上げて尻尾を降りながら嬉しそうに私たちに挨拶。
前の晩とは正反対。すごーい!

ベイリーもよくがんばったね。
元気な顔がまた見られて思わず涙が。

これからまた同じようなことがあるかもしれなく
今後は慎重にケアをしなければいけませんが、
今はベイリーが少し楽になり、眼の輝きも取り戻せたことが一番の喜びです。

2匹いるとお互い寂しくなく、一緒に遊べて楽しいことはもちろんです。
でもこのようにお互いに助け合える、
お互いを救えるといった美しさに感動しました。 
犬だから本人達は分かっていないと思う部分もあれば、
ベイリーとボニーを愛する飼い主としては
いいえ、絶対に何か分かっている、何かを感じている、と信じています。





















今後もボニーの力を借りる必用はあるかもしれません。
そしてボニーだけでは間に合わないときには他のワンちゃんにも
助けてもらうことにもなるかもしれません。

近所に住む大型犬の飼い主達からも感動的な応援の声をいただきました。
「うちの子はまだ若くて丈夫だから必用だったらいつでも言ってね」と。

飼い主同士でお互いを助け合うことはよくありますが、
ここまで言ってくださったのには本当にじ〜んときました。

今回の出来事で犬の輸血のニーズに対しての意識がかなり
高まり、犬同士がお互いに助け合える素晴らしさを実感し、
今後それをプラスに、何かできればと思うようになりました。
自分の犬がそれで助かったということは一生忘れることありません。

しつこいようですが、本当によくやったね、ボニー。
あなたはみんなのヒーローになったのよ。