ほとんど瓶や缶詰に入っている食材だけでできてしまうプッタネスカソース。
好きなパスタソースの中ではかなりランクが高い方です。
初めてプッタネスカと出合ったのは大学の卒業祝いで母とイタリア旅行中、
ローマ在住の陶芸家、ニーノ・カルーソさんのアトリエを訪れた時のことでした。
カルーソさんからいただいた、サイン入りの小さな素焼きのタイルは
今でもあの時の想い出のものとして大切に持っています。
その日、アトリエでお話や見学をしているとあっという間にお昼時間に。
すると若くて美しいアシスタントの女性が突然、
「ランチを作って来るのでちょっと待っていてくださいね」と立ち上がり、
アトリエの片隅にあった小さなキッチンでお料理を始めたのです。
突然のそのイタリア的なホスピタリティーに母も私も大感激。
あっという間にテーブルに運ばれたのが大きなお鍋に入ったニンニク、
オリーブ、ケーパーとアンチョビーが入ったちょっとピリ辛の
トマトソースをからめたフッジリのパスタ。
ソースをお鍋の中でパスタとからめてからお鍋ごとテーブルへ運び、
お皿に盛りつけてくれるスタイルがまたアットホームでイタリアだなあ、
と思わせてくれました。
何も格好つけず、ごく自然に。
そしてワイングラスではなく、普通のグラスに注がれた赤ワイン。
このアットホームなおもてなしこそがたとえ初対面であっても
お客さんを自分の仲の良い友達として歓迎してくれている証でもあるのだと思います。
そのパスタは本当に美味しく、あの時の旅行で一番印象に残ったお料理となりました。
多分、たくさんの作品に囲まれた、古い建物の中にあった陶芸家の埃っぽい
アトリエの雰囲気や温かいおもてなしもまたよかったのでしょう。
今思うとまるでイタリア映画のワンシーンのよう。
そして今でもプッタネスカを作る嘆美に、あのワンシーンのを思い出します。
お店でもよく「スパゲッティープッタネスカ」をメニューで見かけますが、
家で作るときはやっぱり、初めて食べた時の感激もあって使うのは必ずフッジリ。
美味しく、そして手早く作れるのでいつでも作れるよう、
プッタネスカの材料は必ず置いてあります。
くるくるしたスパイラル状のパスタにくるくると中までソースが絡んでとても美味しい。
これはきっと、あの美人アシスタントがマンマから教わったノウハウだったのでしょう。